2020-11-14温泉&露天風呂
魔境:宝川温泉の謎。(ジャパネスク・ワンダースポット)前編
この季節、無性に温泉が恋しくなる。そこで今回は、以前行ったこの湯宿の紹介を。過去ログがあるので、その時の文章をそのまま再現し、その時空にタイムスリップしてみよう。
2009年2月。季節は冬だ。 超忙しい中で、二日ほど取れた貴重な時間。当然、旅のベクトルを探る。
イメージするのは荒々しい冬山、真っ白い雪原、雪を踏みしめる心地良い感触、ホッとできる静寂な宿。そして当然、雪見露天、と。。
そこで今回計画したのが、群馬の水上を基点に谷川岳を望み、スノーシュー・トレッキングをやる。宿は、以前からもう一度行ってみたかった宝川温泉。
旅の組み立てという構想が、まさに雪のようなキャンパスに、スラスラとスケッチするかのようにその輪郭が入っていく。
後は「行動」という絵筆で、自由に着色し描き上げていくだけだ。
旅とは、絵を描く事に似ている。
で、今回はこの温泉宿をテーマにしてみよう。前回初めて行ったのが、2005年の11月。秋も深まった紅葉の中での日帰り入浴だった。
そこで見たものは、露天の圧倒的な広さと迫力、そして人間大もある天狗のお面等の「異常」なコレクションの数々・・・。(写真はその時のもの)
当時の個人的日記でこんな風に書いている。
ここは、まさに河童天国だ!!
この宝川温泉、久しぶりに頭をぶったたかれたような、心地良い新鮮な衝撃を受けた。 『ジャパニーズ・アメージング・キッチュ』と言い換えてもいい。
正直ぶっ飛んだ!「温泉」という概念が、ここまで異様な広がりを持って目の前に迫ってくるとは……。次回は1泊して、じっくりとこの湯宿の「キテレツなる神髄」に迫りたいという欲求が、ふつふつと沸いてきた。
だから、丁度3年半ぶりの目的達成なのだった。しかも晩冬で雪のまだ残る、最高の露天の季節の中で。。
水上の駅前では全く雪を見なかったのに、さすが山深き秘湯の地。いい感じで雪が残っている。
全部で4つもある、広大な露天風呂。季節こそ違えど、何も変わっていなかった。
何て素敵な事!
この渓流の宝川に沿って露天が掘られている。荒々しい瀬音が、心に深く染み入ってくる。。
そして至る所に、「妙なモノ」が置かれている。「飾られている」というよりは、 「遊び心を持って存在している」というか…。
祠(ほこら)の中にも無数のコレクションが。巨大な天狗のお面も健在だった。
これなどは、あえてチープな造花だから面白い。不思議なバランス感覚に、脳髄がクラクラする。
極めつけは、古い廊下に無造作のようでいながら、アンバランスを楽しむかのように並べられているモノの数々。。
古美術の隣にテディベア。純和風の土産物のそばに、アジアの珍妙な民芸品。仏壇の横にヒョットコ等々……。
『何でもあり』という、不思議で不気味(良い意味で)、そして奇妙な楽しさ。 「温泉宿は、非日常へのイザナイだ!」という事だろうか。 さすが「魔境」と惚れ込んだだけの事はある(笑)
ひととおり見た後、夕食前にさっそく「ひとっ風呂」だ。念願の「雪見露天」。
日常に溜まったあらゆるシコリが、ゆっくりと湯に溶けていく……。
食事は、いいムードの個室で。イワナや地の野菜の炭火焼、ヒメマスや鯉の洗いのお造り、タラノメの天ぷら、おまけに熊汁と、、内容的にも申し分ない。
酒はもちろん「谷川岳」。清涼な雪解け水を想わせる、切れ味のいい酒だ。
※後編に続く