美しい写真でつづる旅行ブログ|旅と癒しのフォトギャラリー

旅と癒しのフォトギャラリー

2022-01-08ちょっと面白い出来事

フラリと立ち寄った「岬」という名の喫茶店が、何と映画化された。

「岬」というカフェとの出会い。

内房総の海岸線を自転車で流している時だった。どこかホッとできる店はないかな?と、ガイドブックに目を落とした時だ。「岬」というカフェが近くにある。そして何かピンとくるものを感じた。

 

何よりもその「岬」という名前に、不思議な郷愁を感じたのだ。行ってこの目で見、触れたい。でなければ、何も生まれない。「旅」は、このほんのちょっとした好奇心から始まる。

 

その情報にはこう記されていた。

 

山小屋風の建物はお客の手創り。夕陽がことの他美しく、コーヒーも鋸山の沸き水で淹れるので独特のコクがある。夕方からは潮騒を聞きながらのBARにもなる。そして極めつけは、故ジャック・マイヨール氏がこの店に来た時に描いた絵が飾ってあると・・・。

 


内房総の浜金谷駅から3kmぐらいの所だった。陽の光と風を一身に浴びる、そんな岬の突端にあるロケーションは申し分ない。うるさい車道からちょっと奥まっているだけで、こんなにも詩情が溢れるのかと。。

 


フッと店が現れた。それは一見ボロボロなのだけど、何かとても懐かしいものに出会ったような不思議な郷愁を覚えた。

 


青く塗った壁の色といい、まるで小屋自体がそのまま生き物のように潮騒の中に息づいているかのように。。

 


中に入ると、小さく可愛らしい店内から海が望めた。

 


そして席に座り、さっそく一杯のコーヒーを。

 


そこは「ガラクタ=宝物」の山に埋め尽くされていた。B・ディランのアルバム、J・ディーンのモノクロピンナップ、ロックの匂い、貝殻、ギター、民俗楽器、優しい犬、野良ネコ、JAZZ・・・。潮風に吹かれながら、あらゆる時代と要素がシャッフルされ、呼吸し続けている。

 

店の女主人に、『いい店ですね』と言った。コーヒーの味も確かだった。この時で30年前からやっているという。30年前・・・僕がまだ多摩美の学生だった頃だ。オールナイトの学園祭の模擬店が、ふと脳裏をよぎる。

 

理想と思えるカフェの原型が学生時代に。

今では更にそうだけど、模擬店に泊り込みの出来る学園祭なんて日本中見渡してもそうそうあるもんじゃない。多摩美ぐらいだ。当時から我が母校として、そこにとても愛着を感じていた。

 

友人達と本格的なカレーの模擬店を造った。何十種類ものスパイスの香りが漂う、素朴でアンダーグラウンドな雰囲気の小屋の中。客なんて来ようが来なかろうが、そんな事なんてどうでもいい、と。自分達が満足できればそれでよかった。。何とも妖しげな民俗音楽が流れ、「闇の店」として息づく・・・。

 

演劇部の芝居を見た後、団員から花魁(オイラン)のような衣装をふんだくり、夜、体育館でやっていたロックコンサートになだれ込む。そしてそれを羽織り、最前列で踊り狂っていたあの日。

 

模擬店に泊まり込み、真夜中の硬質な闇の中で見た、スポットライトに浮かび上がる全裸の舞踏家たち。。目の前で繰り広げられる、自然発生的で過激なパフォーマンス。ステレオタイプ的に社会に組み込まれる事を嫌う、鋭く尖がった若き芸術家の卵達のうごめき。。

 

八王子の山の上にある校舎の周辺で、その夜イマジネーションの萌芽の場として、「暗闇で光る豹の眼」のように、それらが爛々と輝いていた。「前衛」というものを希求する「熱」のようなものが、まだかろうじて残っていたあの頃。。

 

僕の内なる店の理想形は、実は「あの頃」に形成されていたのかもしれない・・・。「岬」とは突出したエリアの事。そこは感性と時空間の「エッジ」でもある。

 


岬には どこか不思議な郷愁がある。そしてその店はひっそりと呼吸するかのように、ただただ「自然体」でそこにあった。

 


30年に渡る歴史も、窓から眺める海も、通り過ぎる時代も、ここでは色褪せることなく潮騒の中に息づいていたのだ。

──────────────────────────────────────
今から16年も前の旅の1コマだ。そしてまた行ってみたい店の一つでもあった。

 

それから8年経って、この「岬」が映画のモデルに(@_@;)


そして8年後に、ちょっと面白い発見を。たまたま見ていた雑誌の最新映画紹介の欄に、な、なんと、「ふしぎな岬の物語」という映画の告知を見つけたのだった。

 

『ん?、ん~?えっ!』すぐにピンと来た。『あの店だ!』

 


そして、すでに映画上映の3年前に、この店を題材とした本【虹の岬の喫茶店 森沢明夫著】が出版されていて、その映画化だったようだ。

これは面白い! 映画上映の8年前に旅の途中でぶらっと立ち寄っただけで、その1回キリだった。でもその生い立ちや佇まいに妙に惹かれ、とても気に入っていたので。

 


※映画サイトから

 

なるほど。。ただ僕の中では、この店を旅の中で初めて知り、そして立ち寄ったその風のような「いきさつ」が良かったわけなのだけど。。あのままの状態で存在しててくれ、またフッと行ってみたいと願ってもいたのだ。でも、こうして本にもなり映画化もされるとは・・・これはこれで、感慨深いものもある。

 

変に有名になって、人がワンサカ行くようになると「ダメ」になるケースが多いけど、あの辺鄙な土地だ。余り心配はいらないだろう。それはジープ島も同じ。真にいい所とは、一時的なアブクのような流行に左右されず、歴史を刻みながら芯のトコロは変わらずに、どっしりと構えているものだから☆[゜ー^]

 

感想・お問い合わせ