2022-08-30月光:ムーンライト
大いなる感動!「月の入り」の瞬間!【月と共に旅した北海道】
思えば、美大を出て最初に入社したのが、JTBとJRの広告代理店。旅の仕事がしたくて、デザイン、コピーライティング、写真、ディレクション、、全てのアートにかかわる事に、旅を通して邁進していった日々。
当然、撮影で様々なロケ地を回った。どのポイントが一番イメージを具現化できるかと。
ちなみにかなり前になるけど、JTBの50周年記念のポスターは、僕が企画しデザインし、奥日光へロケに行ったのでした。
それ以来、「ロケハン」的なスタイルが、僕の旅のスタイル♪ とにかくフットワークを軽くする事。無頼的に彷徨う事。現地に自ら立ち、足を棒にし、空気の匂いを嗅ぎ、風を読み、光を感じ、水の流れをすくう。
それは今までに無い、何か「新しい芽吹き」、「新しい価値観」を希求し、発見していく事にも通ずるのかもしれない。
故:星野道夫氏のエッセイの中で、一番印象に残っているのが、1ヶ月近く、極寒の無人の荒野で、一人オーロラを撮影するくだり。それも、バックにマッキンレーを入れて写真に収めようという究極のこだわり。
その過酷な状況の中で氏は、『どうしてこんな事をしているのだろう・・・』と、常に自問自答していた。そのくだりが良かった。
奇跡的に撮れた写真以上に、僕にはその「過程の記録」こそが、「珠玉の作品」のような気がする。
『見たい!』と思う気持ちには、理屈なんてない。それは、結果はどうあれ、「生きている実感」を一番感じる、「時空の流れ」だからだ。
そんな風に思う僕のプライベートな旅のフォト日記を、皆さんに見てもらえて、とっても嬉しく思います。何となく始めた、この独自のスタイルだけど、何か「表現されたかな~」なんて思う時が、たま~にあるのですよ♪
そんなフォト日記に、純粋に反応してもらえるのも、いいもんですねぇ。これからもどうぞよろしくお願いします。
さて、今回は前回の「夏海道ダイジェスト」からワンテーマを抽出して、奇跡のような「月の入り」の、決定的な瞬間! それを、ちょっとドキュメンタリータッチで構成してみました。
僕の旅は、常に「月と共に」あるのです。それは、例えば太陽が、自然の状態の中では、全面的に「見える現象」を支配していて、意識しようがしまいが、当然「太陽と共に」が決定付けられている。
ここに、意識しないと見えてこない「月」の存在を入れていく事で、ぐっと旅に深みが出てくる。
そして、日常の中では、なかなか見えてこない、シュールで甘美なシーンと出会えるのです♪ 時には妖しく、時には哲学的に、時にはハッと息を呑むほどに・・・。
初日の洞爺湖は、穏やかに晴れ渡っていた。この日は、月齢4.1。西の空にやや膨らんだ三日月が。
英語でクレッセント、、僕も大好きな三日月。空気が澄んでいるせいか、ひときわ鮮やかに自己主張していた。
地球照(地球の反射光で、影の部分がうっすらと見える現象)も、くっきりと見える。
満月の頃以外は、月の出ている時間も僅かだから、ニセコ、八雲では、他のテーマに時間を取られ、なかなか意識できなかった。だが、この6日目の熊石では、夕暮の後、しっかりと視野に入ってきた。月齢9.1。半月よりもやや膨らんだ月が、美しく浮かんでいた。
奇岩雲石のホコラに、優しく据えてみる。そして、「何か」を感じてみよう。
夜はけっして闇の世界ではない。月の光はいい。優しさがある。 人工の光はどうあがいても、所詮人工の光。「生きている光」ではないですものね^^
で、いよいよ当日。島牧の町は西側が開けてないので、どんどん北上し、コロアイのいい夕暮ポイントを見つけた。
ここで、「日の入り」から「月の入り」へと。同じ西側の、この美しい天空の営みを比較して見てみるのもいいかと。夕暮からドキュメントをスタートさせます。
海面をも、クリムソンに染めていく。日本海らしく、ディープでダイナミックな色彩!
そして、一瞬の光のパフォーマンス。やや雲があるが、水平線にくっきりと沈んでいくのが見て取れた。西側に、こんなに雲がないなんて、滅多にない!
今日は月齢10.1。と、言う事は、昨日よりも更に膨らんだ月が水平線に沈む、その「決定的瞬間」が見れるかもしれない!
心に染み入るような残照の中で、素早く次の行動を組み立てる。この辺は、ロケハンで鍛えた技。
「月の入り」の時刻は、23時32分。ちょうどコロアイのいい時間だ。だが、月の入る角度は、かなり南に傾くので。ここでは見れない・・・。夕食を済ませた後、さっそくポイントを移動して、見に行ってみよう!
その夜、海岸線をどんどん南に下っていった。だが、まだまだ隠れてしまう・・・。どんどん進む。途中、味わいのある漁港に立ち寄りながら。ここからが、月ハンター(笑)の真骨頂だ!
夜の「海道」を堪能しながら、ようやく開けてきたポイントまで来た。結局、30kmも走った事になる。志津田岬。ここならもう障害物は何も無い。
半月に近いというのに、美しい「月の道」が出ていた。この月齢でこの光なら、満月なら恐ろしいまでの光景が見れるだろう!なにせ、半月と満月の間には、22倍もの光量の差があるからだ。
この欠けてはいるけど、ふっくらとした丸みが強調される、この月齢の「月姿」も好きだ。
月光に近くの巨岩が妖しく照らされ、星と共に不思議な光景を見せる。まるで、映画「未知との遭遇」のように。
徐々に水平線に近づき、月の道も、細く、か細く、赤く、繊細に・・・。
月の色もどんどん赤みを帯びてくる。ここからは、できるだけ見た色を忠実に再現してみました。貴重な連続ショットです。
そしてついに水平線と接触した瞬間! ワイングラスのような現象を起こしているのが、分かるだろうか?
しかも、左側から漁船がゆっくりと近づいてきたのだった。
この漁船は偶然の産物ながら、不思議な効果をもたらしてくれた。月の大きさと水平線が強調され、なんともシュールな光景! まるで宇宙に浮かぶ「方舟」のように・・・。
そして離れていく。僅か数分の出来事だったが、永遠に忘れられない、密度の濃い光景となった。
そしてラストの瞬間。消え入るような「戦慄」を残して・・・。その後、漆黒の闇を迎えた。でも頭上には満天の星だ。今度は星達が主役を張る番。驚くほどの天の川の輝きに、今宵も浸ろう!
僕にとっても、水平線にくっきりと沈む月の入りを見れたのは、今回が初めてだった。近い状況の時もある。ただ、水平線近くは、雲があるか、あるいは海面の水蒸気でモヤがかかり、だいたい、ボ~っと消えていくのが常だった。ジープ島でも、なかなか見る事はできない。
それが、これほどまでにクッキリと見れるとは。しかもワンチャンスで。恐るべし、北海道の志津田岬!
スモッグとは無縁で、しかも海水面温度の低い、この最果ての地だからこそ、ここまで見れたのだと思う。このシーンは、永遠に心の中に刻まれるであろう。「神」ならぬ、「月」の微笑と共に・・・♪
そんな旅のエキスをオモチャ箱のように、ここに沢山置けたらいいなと思います。そして見に来てくれた方の、何か、これからの「旅のヒント」になってくれれば、と。
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