2022-02-20栃木の奥日光
雪の中で光る、ホタル灯の小宇宙【日光湯元の雪イベントにて】
例年この時期には、奥日光の戦場ヶ原にスノーシュー・トレッキングをしに行っていた。ここは春夏秋冬、とにかくBUSの便が良く、行きやすい所なんだよねっ。
そして冬の巷では、イルミネーションやマッピング、光のイベントが花盛り。その中でもとりわけ、自然の地形を生かしたナチュラルな演出が大好き。
前回、湯西川のローソクの光のイベントと、ライトアップされた氷爆を紹介したけど、もう一つ前から見たいと思っていたモノがあった。それが、この時の旅で初めて触れた、日光湯元の雪の中の光のイベントだ。
もちろん、天然で発光するホタルや海ホタル、ホタルイカ、更には夜光虫などの光に触れた時に、心の底から感動するモノとは根本的に次元が違う。人工的なモノは所詮「作りモノ」だし、ある意味では薄っぺらくてモノ足りない。。
でも上記を知った上で良質なモノに触れると、それはそれで不思議で魅力的なイリュージョンに包まれる事ができる。
想像力を純粋に100%開放さえすれば、ユニークな発見もできて、予想以上に楽しめるのだ。
そう、クリスマスという「子供時代からの大いなる記憶」を背負った場合の、あの幾つかの光の演出が、確実に心の奥深くを震わせるように…。
3月がほとんどで、2月にこの地に降り立つのは初めてだった。標高1500mの真冬の高原は、日没になると一気に氷点下10度まで気温が下がる。
でも、そんな中だからこそ、この貴重で美しい「モノクロームの光景」に出会えた。
しだいに夕焼けが辺りを包み込んでいく。そしていよいよ雪の灯籠に光が灯る。
湯西川と違って、こちらはLEDの光。冷たく無機質だけど、雪という天然の素材の中で、白から黄、青から紫と色調を変える様子は、また違った趣がある。
「雪灯里(ゆきあかり)」と題したこのイベント。予想以上に、ほんの小さな一角だった。でもそれでいい。コジンマリとしていて、さりげなく落ち着いて見る事ができる。
そして「青い光」が大好きなので、僕的にはとても心地いいイマジネーションに包まれる事ができたのだ。
天然の雪という素材が、触感的にとても魅力的で、危ういスケルトン感を表出する。。
中央のメインに、大きなカマクラが作られていた。
中に入ってみると、今までに体感した事のない「不思議な青」に包まれた。
そして、今回一番想像力を沸き立たせてくれた「小さな緑の光のマッピング」が浮遊する。
まるで陸上のホタルが群舞しているかのよう。。
この演出がそれを意図しているかどうかは分からない。でもそんな事は考えず、自由にインスピレーションを膨らましてみよう。
その時フッとある事が閃いた!
陸のホタルは「緑」に光り、海のホタルは「青」く光る。まるでその競演を表現しているかのように思えたのだ。それは何気ないようでいて、でも僕的にはとても衝撃的な発見だった!
陸の植物の「緑」と、海の普遍的な「青」。そこには「絶対グリーン」と「絶対ブルー」という色彩の概念が存在するのではないだろうか、と…。
ひとしきり見て、もう全身が寒さで痛いほどだった。ホテルに戻り、ゆっくりと露天風呂に浸かる。至福の瞬間。。そして早朝にもう一度。
日光湯元は極上の硫黄泉だ。それは乳白色というか、乳緑色というか、乳青色というか。。白に緑と青を溶け込ませたような。
緑と青。。ここでも陸と海が、その雪のような白に溶け合っていたのだった…。
ん~、強引にこじつければ、陸と海の不思議なハザマに埋没していくからこそ、硫黄泉はシュールで奥深いんだなぁ、と☆[゜ー^]