2021-07-11南房総の千倉
ペンション・バードランド in 千倉|フランス映画とシンクロした宿
この「心の地:千倉」のカテゴリー、海岸美術館~サンドカフェと来たら、流れ的には次はこれでしょう。
ある時、トンボ帰りの日帰りではなく、一泊して千倉でゆっくりしたいなぁと思い立った。それでNETで色々調べた結果、この宿にする事に。
正式名称は『シーサイドイン・バードランド』。大人の隠れ宿的なところが気に入ったのだ。
ピンポ~ン、大正解! 玄関に入って、すぐにそれを感じた。ここも前編のサンドカフェ同様「千倉の海のエキス」に溢れている、と。
複雑な建築構造の「バードランド」、光の入り方が実に面白い。
テラスやベランダが立体的に変化のある造りになっていて、とても魅力的。限りなく個性的で、なおかつ居心地のいい居住空感。
もはや「宿に泊まる」というよりは、友人の別荘に遊びに来た感覚だ。
こんなギャラリーも、建物の一角に併設されている。地元の陶芸作家の作品だという。
少し高台にあるため、千倉の海を見事なまでに一望できる。この立地条件に、ご主人が惚れたのも良~く分かる。
海を見下ろせるベランダからの眺めが、特に感動もの! ここからでも、日の出や月の出が見られそうだ。
広いウッドデッキは、開放感そのもの! フッと美しいと思ったらイメージを切り取ろう。自然の声や香りを感じるのと同じように、感覚的に、ひたすら感覚的に……。
そして2階のテラスに続くこのサンルームが、今回の最大のテーマとなった。内と外が創り出す、風が吹き抜けるようなバランス感覚だ。
少しずつ日が傾き、茜色の光が物語を語り始める。それは、ゆっくりと自分と向き合うための大切な時間帯。頭の中は限りなく空白になっていく。。
そして驚いたのが、ここバードランドのご主人の、映画・音楽・文学の造詣の深さと収集の多さだ。その中でも、特にフランス映画が大好きだという。しかも、その映画を備え付けの巨大スクリーンにプロジェクターで映せる。まさにホームシアターばりの設備!
その夜、ロメール監督の「海辺のポーリーヌ」や「ベティブルー」など、幾つかのお薦めのフランス映画を見させてもらい、改めてフランス映画の真髄に触れる事に。。
そしてまるで映画の中に入り込んだように、緩やかにそしてエキサイティングに、時があっという間に過ぎていった……。
「バードランド」のサンルームで、真夜中のまどろみ。
そして翌朝の、まだ暗い内からこのサンルームにこもった。すると、何と天窓から半月が顔を見せたのだ! 思わず照明を全て消し、この贅沢な月光の降り注ぐ中でまどろんだ。それはまさに現実とも夢の中ともつかない、不思議な時空間だった。。
夏以外は寒くて、なかなか屋外だとこのシーンの中に長時間は居られない。でもこの日は、このサンルームが強い味方になってくれた。素晴らしい居住空間、そして建築設計!
やがて太陽が顔を出す。朝もゆっくりと、ゆっくりと訪れるのだ。。
短時間でもぐっすりと眠れた朝、ご主人が丹念にコーヒーを淹れてくれた。思わず唸りたくなるような、こだわりのトラジャを。
そして光がマドロミと遊び、潮風が海のイメージを結晶化していく。。
ここ「ペンション・バードランド」は何度でも、そして千倉の海に浸りたくなったら、ふらりと訪れたい宿だ。
どこかノスタルジックで哀愁を帯びていて、自由に気ままで、エスプリに満ちていて。。
今回来てみて、次の大いなる目標が生まれた。それはここで「月の出」を見る事。これは今までも様々な場所でやってきた事だけど、屋外の環境の中ではなかなか厳しい。だいたいが痺れるように寒く、快適なコンディションで見れる期間は、夏場のごく僅かだ。
でもここなら一年を通して、その「ぬくもり」の中で見、そしてまどろめる。
千倉、、やっぱりここは特別な場所。。
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当ブログでは【月光:ムーンライト】として、様々な月との出会いのストーリーを掲載しています。是非ご覧下さい。
そして、偶発的な発見が生まれた。
昨夜見た瀟洒なフランス映画。それがこの土地で見るのにとても似合っていた。不思議なオーバーラップ感。。
実際、フランス映画には海辺のシーンが多い。「ベティブルー」も「男と女」もそう。
ふと、今は亡き父もフランス映画が大好きだった事を思い出す。。海辺のシーンの多いフランス映画。僕の生まれ故郷の鎌倉は、父が新潟から東京に来て初めて住んだ場所。東京まで遠距離通勤で通わなければならないのにと、ず~と密かな謎だった。
でも今回それが分かったような気がする。父がワザワザ離れた鎌倉に居を構えた理由が、その「海辺への憧れ」だったのかもしれないなぁ、と。
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そんな旅のエキスをオモチャ箱のように、ここに沢山置けたらいいなと思います。そして見に来てくれた方の、何か、これからの「旅のヒント」になってくれれば、と。
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